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Posted by あしたさぬき.JP at

2016年11月25日

「二人の距離感」

「二人の距離感」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

「またついて来とんか!
 いい加減にせい!」

フロアに響き渡る
大きな声。




歩行器を押し歩く
屋島さんの後ろには

いつも石場さんがいる。



「あんたどこ行くんなぁ~
 危ないで~」

おもいきり怒られている
にもかかわらず

足元がふらふらの
屋島さんを気遣う。




彼女が怒鳴られたのは
1度や2度ではないが

石場さんは
屋島さんとの距離を
広げようとはしない。



何度冷たくされても
声をかけ続けるその姿には

何か一途なものを感じる。




そんな毎日の繰り返しののち
二人の関係に

少しずつ変化が見えてきた。



屋島さんが
石場さんが近くに来ても
あまり気にしなくなったり

自然に
ソファーで二人並んで
座っていたり。



変わっていったのは
二人の互いへの
干渉の仕方。




気にされすぎると
イライラしてしまうけど

何となく
心配してくれるのは
わかっていた屋島さん。



心配だけど
言い過ぎると嫌かもしれないと
察した石場さん。


今までは
お互いが相手の感情を
読み取りあいながら

二人の間には
ほどよい距離が保てている。


喧嘩するほど仲が良い?

いや、雨降って地固まる、か。



良き時も悪き時も

富める時も貧しき時も

病める時も健やかなる時も

共に歩む。


それが距離を縮める
近道なのかもしれない。

「二人の距離感」
  

Posted by syuri at 07:00Comments(0)介護編

2016年11月18日

「季節を感じて.2」

「季節を感じて.2」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

「これ見てごらん。
 家でなっとったんよ。
  
 お裾分けや。」


渡したくれたのは一個の柿。

小振りながら
気持ち良いほどに

鮮やかな橙色である。




「今年もたくさんできとるんよ。
 毎年同じくらい実がなるんや。」

自慢そうに
柿の木を撫でながら



自分の生まれ育った場所は田舎で

柿の実がなっていたら
子どもたちが
学校帰りに取って食べていたこと



結婚して
香川に移ってきた時に

夫と植えた柿が
この木であること



夫が数年前に他界した後も
大事にしてきたことなど

昔話を交えて語ってくれた。




「人がおらんようになっても
 植物は変わらず
 秋になったら実をつけてくれるんよ。

 だから生きとる間は面倒見てあげんと。」と、

少し寂しげに笑って
そう答える姿が印象的だった。



食欲の秋

実りの秋

読書の秋・・・。



一人ひとりが見つける秋は
どのように映るのだろう。


一本の柿の木を
共に眺めながら

少しずつ色づいていく秋の風景に


静かに想いを馳せるのであった。


「季節を感じて.2」
  

Posted by syuri at 07:00Comments(0)介護編

2016年11月11日

「季節を感じて」

「季節を感じて」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

デイサービスの送迎者の中では

「今日は、朝から曇っとるけど
 雨が降るんかいの。」


「今朝は寒かったけん
 一枚多めに着て来たわ。
 みよる間に冬になるで。」


など

必ずと言っていいほど
天気や季節の話題になります。




利用されている皆さんは

運転しながらでは気づきにくい
季節の移り変わりを発見しては

教えてくれます。


学生の制服が
冬服に替わっていることや

手袋をしている人がいること。



この前までは青かった柿が
熟れて

たくさん実をつけていること。



夜露で
草木が濡れていること。




私だと、気にもとめず
通り過ぎてしまいそうなことにも気づき

それを当たり前のことのように

自然に言葉にしてくれます。


そんな会話にほっこりし

意識して

施設の様子に
目を向けてみると

思っていた以上に
季節の移り変わりを
感じる発見がありました。



水の冷たさ
暖かい飲み物

秋の歌

きのこや里芋など
季節の旬の食材

そこら中に「秋」があふれ

いつの間にか冬の準備も始めています。


それは
些細なことのようではありありますが

とても大切なこと。




利用されている皆さんは
いくつもの季節を
五感で感じ

楽しみながら

その季節を超えてきたのだと思うと

ちょっと冷たくなってきた空気にも
親しみを覚えます。



そろそろお正月。

皆さんの会話から
何が発見できるのか


今から
とっても楽しみです。

「季節を感じて」
  

Posted by syuri at 07:00Comments(0)介護編

2016年11月06日

「なんしょ~ん???」

「なんしょ~ん???」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

保育所の所庭から

毎朝
声をかけてくれる子どもたち


「なんしょ~ん???」

「おはよう。おそうじしょんや。」


「そうなん。わたし、むし、さがっしょん!」

「わたし、これ~!」



手のひらに
ころころ、くるくる 

だんごむし

「おっええのみつけたなあ。」

植込みの木立にそっと

お気に入りのままごとセットを
忍ばせて。




「ちょっと、みよってよ~。」

「はい。みよるわなあ。」

「だんごむしが、迷子になったらいかんもんな」



「ちょっと、みよってって!」

「そやから、だんごむしやろ。
よ~く、みていますよ!」


「わたしを、みて。」

「おう、そうやったんやな。」



すっと
風のように目の前を

走りすぎる



ぽんと
高々と木の葉に向かって

ジャンプ


ひょいと
軽く投じたボールは

遠くへと


ぐいっと
伸ばした腕は

木登りさ


じゃぶんと、じゃぶじゃぶ
池でメダカを追う


いつも
見慣れた毎朝の景色




いや、待て待て
あまり、見かけなくなったのか。

子どもたちの外で遊ぶ姿

 田舎へ行くと
 自然がいっぱいでいいねなんて思っていると

 少子化で、同世代が少なくなり
 自ずと家庭ですごす機会が増し

 テレビ視聴、ゲームに興ずる時間が
 増してしまうこともあるようだ。



 子どもたちの生活リズムを整えるうえで
 しっかり外遊びをしよう。

 日中
 たっぷり身体を動かすことは

 その後の、食事、睡眠への影響は大きい。
 


 体力の低下、学力の低下、キレやすいなどと指摘

 大きくなって
 「うちの子なあ・・・・」と嘆く前に

 乳幼児期にできることがあったかなあ

 なんて思われます。



 乳幼児期からの
 子ども本来の生活を大切にし

 こころとからだの発達を促そう。



 おとなのできること
 
 そうだ
 遊びに熱中できる環境を整えよう。


「なんしょ~ん???」

  

Posted by syuri at 07:00Comments(0)健康新聞

2016年11月04日

オバケかぼちゃのお祭り

オバケかぼちゃのお祭り
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

何だか
ドンドン賑やかになる

10月31日。



当然
保育所でも

それっぽいイベントが催される。



今年は
県外から20名近く見学者も
訪れたものだから

子どもたちも
大張り切り。

一生懸命練習した歌や踊りを
披露してくれた。



そんな中

そんなイベントなんか
興味ないわい、と
言わんばかりに

もくもくと将棋をさす男性がいた。



ちっちゃな
オバケかぼちゃ扮した子供たちが
目の前をヨチヨチと歩いても

どこ吹く風。


賑やかに踊っている姿を
見に行こうよ、と
職員がお誘いしても

「関係ない、将棋がいい」と
頑固に動こうとしない。


半ばあきらめ
将棋の相手をしていると

やんちゃな男の子が
「何をやってるの」と
将棋に興味を持ち

近寄ってきた。


これにはさすがの男性も
目元を緩ませ

何と
ポケットに忍ばせていた飴玉を

そっと手に
乗せてあげた。



ちゃあんとわかっていたのだ。

今日は
子供にお菓子をあげる日だって。



そして
テコでもその場を離れなかった男性が
将棋の勝負もそこそこに

男の子の手に引かれ
賑やかな音のする方へと

行ってしまった。




子どもには垣根がない。

大人は
知らず知らずのうちに
高い垣根を作ってしまうけれど

子どもは

その垣根をいとも簡単に
取っ払ってくれる。



だから
子供に助けられている。


これぞまさに

共存だ。





「オバケかぼちゃのお祭り」

  

Posted by syuri at 07:00Comments(0)介護編