2013年12月17日

「もったいない」

「もったいない」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 デイサービスに来ているトシコさんは認知症で「もったいない」が口癖。だからだろうか、トシコさんの着る冬物の上着は毎年同じ物だし、出された食事も残さずに全て食べる。
 そんなトシコさんはデイサービスに来ているとき「もう、帰ります。」と言って、玄関で車を待っていることがある。そんな時の理由は“着てきた服が違う”か“昼食が全て食べきれなかった”かのどちらかだ。
いつもと違う服を着てくれば、「前の服を捨てられたらもったいない。」と言って帰ろうとするし、昼食を残してしまったら「申し訳ない、作ってくれた人に会わせる顔がない。」と言って帰ろうとする。なるほど、理に適っているなと思う。
 このような言動を、徘徊や帰宅願望と一言で片付けてしまう人もいるだろう。でも、トシコさんのように認知症であっても「どうして?」と聞けば、「そういうことか。」と納得させられる理由をみんな必ず持っている。着る物や食べる物を平気で捨てたり残したりする神経や、自分たちが理解できない行動を変な行動と決め付けるほうが、おかしいのかもしれない。
 トシコさんは、物のない時代を生き抜き、未だに物を大切に思うことを、私は素晴らしいと思い尊敬する。大量生産・大量廃棄という時代の流れの中、トシコさんは日本独自の精神「もったいない」を守り続けている御一人なのだ。

「もったいない」



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