2014年01月29日
「昔の約束」
「昔の約束」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
昨日、久しぶりにお会いした入居者の息子さん。彼の話は素敵だ。例えば…。
『「次の休みは、ばあちゃんの家まで自転車で行こう。」私が子供のころ、父は口癖のようにそう言ってくれたけれど、それが無理なんだろうということは何となく知っていた。父は忙しく働いていたし、休日も家にいないことが多かったから。そんな父も80歳を過ぎ介護が必要となった。母一人では大変だと思い、私も父の介護をするようになっ
た。介護と言っても脈絡のない話に相槌を打つ程度のもの。一緒にいると、父はフラっと家の外へ出て行こうとする。その時は、天気も良かったし一緒に外を歩くことにした。結構な距離を歩きながら、私は、ふと「ばあちゃんの家まで自転車で行こう」という父の口癖を思い出した。行先も違うし、自転車にも乗ってはいないけれど。
それから、私は時間の許すときは父の介護をするようになったが、そのたびに一緒に外を歩いた。結局、ばあちゃんの家へ辿りつくことは出来なかったが、昔出来なかったことを今しているようで、私は楽しみながら歩いた。今思えば、父のあれは徘徊だったのだろう。しかし、私にとって父との外出は童心に戻れる貴重な時間だったし、父もきっと私との昔の約束を覚えてくれていたのだと思う。』
さて、今日はどんな素敵な話を聞かせてくれるのか。彼に会うたびにそんな期待をしてしまう。
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
昨日、久しぶりにお会いした入居者の息子さん。彼の話は素敵だ。例えば…。
『「次の休みは、ばあちゃんの家まで自転車で行こう。」私が子供のころ、父は口癖のようにそう言ってくれたけれど、それが無理なんだろうということは何となく知っていた。父は忙しく働いていたし、休日も家にいないことが多かったから。そんな父も80歳を過ぎ介護が必要となった。母一人では大変だと思い、私も父の介護をするようになっ
た。介護と言っても脈絡のない話に相槌を打つ程度のもの。一緒にいると、父はフラっと家の外へ出て行こうとする。その時は、天気も良かったし一緒に外を歩くことにした。結構な距離を歩きながら、私は、ふと「ばあちゃんの家まで自転車で行こう」という父の口癖を思い出した。行先も違うし、自転車にも乗ってはいないけれど。
それから、私は時間の許すときは父の介護をするようになったが、そのたびに一緒に外を歩いた。結局、ばあちゃんの家へ辿りつくことは出来なかったが、昔出来なかったことを今しているようで、私は楽しみながら歩いた。今思えば、父のあれは徘徊だったのだろう。しかし、私にとって父との外出は童心に戻れる貴重な時間だったし、父もきっと私との昔の約束を覚えてくれていたのだと思う。』
さて、今日はどんな素敵な話を聞かせてくれるのか。彼に会うたびにそんな期待をしてしまう。
Posted by syuri at 00:00│Comments(0)
│介護編