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Posted by あしたさぬき.JP at

2013年04月23日

「小さな恋の話」

「小さな恋の話」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 一年ほど前に施設入所になったシゲオさん。入所したころは帰りたいと言って荷物をまとめてみたり、タクシーを呼ぶと言って電話を掛けようとしてみたり、そんな日々でした。ある日、フジコさんという女性が入所してきました。シゲオさんとフジコさんは偶然同じソファーに座ったのがきっかけで、どんどん仲良くなっていったのです。
 それからというもの、シゲオさんが帰りたいと言うことはなくなりました。そして、何をするのもフジコさんと一緒で、時々、「二人して、ここを出て暮らそう」と一緒に荷物をまとめている姿は見かけましたが何だか楽しそうで良い雰囲気なのです。
 フジコさんはその後、病気で入院し、口から食事をすることができず胃瘻という状態で施設に帰って来ました。病気のため喋る事もできません。状態などを考慮し、移動は車椅子です。その車椅子を献身的に押して歩くシゲオさん。
すると突然シゲオさんの掛け声が聞こえてきます。シゲオさんがフジコさんをお姫様抱っこしてトイレへ連れて行こうとしているのです。喋れないけどフジコさんの目が「トイレ」だと訴えていたのでしょうね。
 先日、そんな話をフジコさんの家族が聞いてくれました。家族は施設に帰ってきて良かったと言ってくれました。施設は様々な方が一緒に生活しています。そこで生まれる人間模様や恋模様も様々です。でも、それこそが生きていることなんだ


  

Posted by syuri at 00:00Comments(0)介護編

2013年04月16日

「幸せの形」

「幸せの形」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 数年前、デイサービスに来だした頃のタケシさんは、脳梗塞を繰り返し、身体の左側に麻痺が残っていた。娘との関係もなんだかぎくしゃくしていて、お迎えに行っても娘とケンカしていることが多く、娘の見送りはなかった。デイサービスに来てもタケシさんの口から聞こえてくるのは娘の愚痴ばかり。
 でも、周りの利用者の皆さんは、その愚痴に同調しながらも、必ず「だけどね…」と、会ったこともないタケシさんの娘の良いところを口にする。タケシさんの着てくる服はいつもお洒落で「タケシさんのことが好きだから、素敵な服を買ってくる」とか、タケシさんの部屋は南側で日当たりの良い場所にあるのだけど「タケシさんのことが好きだから、良い部屋を使わせてくれる」等々。まるで、二人の仲を取り持つような感じだ。
 最近は、タケシさんのお迎えに行くと、娘と一緒に花壇をいじりながら待ってくれている。車に乗り込む時も「行ってらっしゃい」と娘が言うと「ありがと」と小さな声でタケシさんが返事をする。いつか「ワシが何を言っても、皆が、娘はワシのことが好きなんだと言うから、その気にさせられたんだ」と少し怒ったように呟いていたが、それはきっとタケシさんなりの嬉しさと感謝の現れ。
 タケシさんの身体の状態は数年前と変わらない。でも、娘との関係は以前より良好で、娘の愚痴を聞くこともなくなった。代わりに「皆に感謝、娘に感謝」と幸せそうに口にする時がある。それを見ていると、こちらまで幸せな気持ちになってくるのだ。


  

Posted by syuri at 00:00Comments(0)介護編

2013年04月09日

「共生」

「共生」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 エミコさんは動物が大好き。自宅では犬と猫をそれぞれ一匹ずつ飼っていて、一人暮らしのエミコさんの良いパートナーとなっている。
 飼った以上は最期までしっかりと面倒を見るのが飼い主の務めと、口癖のように言うエミコさん。
毎日、決まった時間に餌を与えて、犬と散歩に行き、帰ってきたら猫と日向ぼっこ。デイサービスに来るとき以外は、そんな日課になっているらしい。その為か、足腰が丈夫で体調も良いので、二匹のお陰だと喜んでいる。確かに85歳には見えない。
 先日、エミコさんの家に行く用事があって初めて自慢の犬と猫に出会った。犬はそこそこ歳がいって歩き方が覚束ない。猫はまだまだ小さくて歩き方がぎこちない。「猫って、こんなに小さかったんですか?」と聞くと、エミコさんは「最期まで面倒見るのが飼い主の責任だとは思うけど、この猫、あと何年くらい生きるのかしら。私、今年で86歳なの・・・でも、責任は果たすつもりなので、猫が生きている限り、私も長生きします。」と目を輝かせていた。
 猫の寿命ってどのくらいなのだろうか?仮に猫が15年生きたとしたら、その頃エミコさんは100歳になっている。エミコさんは責任を途中で放棄するような無責任な方ではないので、本当に100歳まで生きるのではないだろうか。その時は、100歳になったのも猫のお陰と元気に笑っているはずだ。


  

Posted by syuri at 00:00Comments(0)