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Posted by あしたさぬき.JP at

2015年08月28日

「また来るね」「またおいで」

「また来るね」「またおいで」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 今日は何だかお隣さんが騒がしい。この時間はとっくにちびっ子たちは帰ってるし、夜の7時にもなると灯りも消え、しんと静まり返っている。けれど賑やかに灯りも点いて、ちびっ子たちも走り回っている。「どうして」って尋ねてみると、お泊り保育なんていってみんなで一緒にお泊りするんだって。へぇ楽しそうだな。そうこうしている間に、ワンヤワンヤ、そのちびっ子たちが、こっちにやって来た。何でもうちのお風呂を借りに来たらしい。どうぞ、どうぞ、大勢でお風呂って、ワクワクするよね。そいでもって「お風呂上がりに冷たいジュースを一杯いかが?」
 今度はこっちがお隣さんへ行ってみた。「花火するから、みんなもおいで」って。線香花火の火をそぉっと、そぉっと、ちっちゃな手に持つ花火に移してあげる。線香花火のぼんやりとした光に包まれ、オレンジ色に染まったその顔は、とってもあったかぁい笑顔。その後は、手作りキャンドルに火を灯し、「きもだめし」ならぬ「ゆめがたり」。みんな、すごいね、叶うといいね。
 楽しい時間はあっという間。長かったお泊り保育も終わっちゃったけど「美味しいジュースありがとう、また来るね」「花火楽しかったよ、またおいで」って、みんな笑顔でハイタッチ。

  

Posted by syuri at 17:57Comments(0)介護編

2015年08月21日

「聖徳太子」

「聖徳太子」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 毎週日曜日になると、訪問するお宅がある。数年前にご主人が亡くなってからずっと一人暮らしをされている方なのだが、とても気さくで明るく、朗らかな性格なので、仕事ではあるものの実は訪問するのが楽しみだったりする。ゴミの片づけがほぼ終わり、「もう他にはありませんか」と尋ねると、「私はまだ捨てんといて」と、冗談を言い合って毎回笑いの花を咲かせるのである。
 買い物支援も行っているのだが、要る物が何もない時にはいつも決まって「ないのは聖徳太子だけ」と言うのが口癖になっている。ただ初め聞いた時には何の事だか、すぐにはピンとこなかった。今では「一万円札の事だ」とすぐに繋がるが、何しろ聖徳太子の一万円札が世に出回っていたのは、かれこれ30年以上前の話。「聖徳太子じゃなくて福沢諭吉じゃないの」とちゃかしてみると「私は昔人間だから、一万円札と言ったら馴染みが深いのは聖徳太子なの」と。初めて一万円札が登場したのは57年前の昭和33年。「まあ戦争も経験したし、確かに大変だったけど、夫と子供に恵まれたし、若かったから何でも出来て、あの頃が一番面白かったわ」と懐かしむ様子で毎回語ってくれるのである。なるほど聖徳太子の一万円札には、そんな若かりし頃の思い出が詰まっていたのか。
 そんな風に感心していると、話の最後には「そんな私も今ではしわくちゃの婆あです」と茶目っ気たっぷりな口調で言いながら、「時間はあっという間だから、若いうちからしっかり頑張んなさいよ」と付け加えるのも忘れてはいない。仰る通りです。同じく爺いになるまで精進致します。



  

Posted by syuri at 11:01Comments(0)介護編

2015年08月14日

「やる気スイッチ」

「やる気スイッチ」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 週に3回決まって利用される女性。この女性は認知症を発症し、出来る事が少しずつ減ってきたそう。もう何年も台所仕事や掃除・洗濯等していない。
 そんな女性が必ず決まって参加される授業がある。それは手芸の授業。この授業は、クラフトテープを組み合わせてお皿やかごなどを作る、とっても細やかな作業を行うものだ。組み合わすテープが少しでもずれると、全体が大きくずれてしまい、あまり良い出来栄えにはならない。この日の作成物は「お花のブローチ」。私が授業を覗くとお花の中心部分をきれいに丸く重ね合わせる作業をしておられた。何人かの女性が茶色のクラフトテープを重ね合わせており、その目は真剣そのもの。声をかけるのもはばかられるほどだった。と、ふいに後ろから「見て見て!」と大きな声で呼ばれたので私は思わず振り返った。するとあの女性が作成途中のそのブローチを手に私に「出来た!出来た!見て見て!」と嬉しそうに、そして「どうだ!」と言わんばかりに見せるのだった。その顔はどこか誇らしげでワクワクしている少女のようだった。
 何が無理で、何が出来るのか、そんな事は私たちが決める事ではない。出来なくなった事があっても、この顔をこの表情を見られる限り、出来ることは無限大に拡がる。「すごいじゃないですかっ!」とそのブローチを手にしながら、今度は何を仕掛けようか、とワクワクしていた。


  

Posted by syuri at 17:53Comments(0)介護編

2015年08月07日

「ほうほうのてい」

「ほうほうのてい」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 一人暮らしの嘉子さんの家での話。嘉子さんは耳が遠く、呼び鈴が聞こえないのでヘルパーに行く時は合鍵を使って中に入り声をかける事になっている。
「こんにちは、嘉子さん、お元気ですか?お変わりありませんか?」
そうすると嘉子さんはにこにこしながら「あら、来て下さったの?いつもありがとう、お陰で元気よ。」と答える。ところがその日の様子はいつもと違った。
「誰なの?」と、不審な表情。
「いつものヘルパーですよ。」
「そんなの知りません。だいたいどうやって家に入って来たの?」
「嘉子さんのご家族に鍵をお預かりしているんですよ。」
「私は何も聞いてません。あなたいったい誰なの。」
「ああ、失礼名刺を出します。…はい、私はこういう者です。」
「もう一枚頂戴。」
「何故です?」
「他人様の名刺かもしれないでしょ。」
「成程、ごもっともです。どうぞ。」
「ふうん、じゃあもう一枚。」
「…いえ、もうありません。」
「ほらごらん怪しいわ。」
 いつもとは違い、全くとりつく島がない。嘉子さんは認知症があり、たまにこういう事もある。一度仕切り直した方が良いと思い、一旦退散する事にした。
「では出直して参りますね。」
「ちょっと待ちなさい。帰しませんよ。」
「え?」
「あなたはね、このまま朝まで私と一緒にいて明日警察に行くんですよ。」
「なんでまた…。」
「なんでって、そうでしょう?あなたの正体が分からないんですから、あなたは私に説明する義務があります。」
 そんな問答が更に30分程続き、やっとの思いで逃げ出した。ご家族に話すと「お婆さん、一人でいるのが寂しかったから一芝居打ったのね。」…やられましたよ、嘉子さん。




  

Posted by syuri at 18:05Comments(0)介護編

2015年08月03日

「甘くひろがる 氷砂糖」

「甘くひろがる 氷砂糖」

~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 眩しさと輝きを増す太陽。大きなしぶきをあげて弾けていく水玉。響き渡る子どもたちの歓声。保育所内や近くの小学校から水泳に親しむ姿がみられるようになってきました。もう何十年も前になるかな、小学校のプールで、放課後、練習に励んでいると、冷えた身体を温めようとみんなでコンクリートの壁にペタッとくっついてみたり、耳に水が入ったといえば、またまた、ペタッと張り付いてみたり、あのじわっとした感じがなんとも心地よかったですね。時おり、先生からいただいた氷砂糖の一粒が、口の中で広がる甘さといえば、何にも代えがたいものがありました。近年では、水泳を取り巻く環境も大きく進化し、速さを競うための素材や日差しから身を守るための形態、練習中の水分補給など、さまざまな工夫がみられます。時代は、変われども水遊びの楽しさは、変わらず。大人になった今、水が温泉とビールになったとはいえ、幼いころからの運動習慣を大切にしたいですね。先日、サンポート高松周辺で、トライアスロンが実施され多くの競技者また運営スタッフ、ボランティアが参加されていました。ライフセーバーとして、元日本記録保持者のオリンピアンも海上からサポートされたとか。こうした、地域をあげての機運を高めるのも楽しみのひとつですね。さあ、この夏なにかはじめてみませんか。

  

Posted by syuri at 09:23Comments(0)健康新聞