2013年06月25日
「小さなことからコツコツと」
「小さなことからコツコツと」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
先日、県立保健医療大学で開催された地域福祉講演会。今年で5回目を迎えた。毎年、介護のことや認知症のこと、それを取り巻く家族や地域、制度のことを参加者の皆さんと考えている。1回目から参加してくださっているテツヤさん。今年も当然のように来てくださった。「今年も勉強させてもらおうと思って」そんなテツヤさんの一言がとても嬉しかった。
会場は3階にあって、今の時期は蒸し暑いから階段で昇るのは私であれば億劫に思う。だから、テツヤさんにもエレベーターを勧めたのだが、「この講演会に続けて参加して、いろんな人の話を聞くうちに自分なりに一つの事に気付いた。恵まれすぎているのは不幸な事かもしれないということ。そう考えると、エレベーターもその一つ。僕は階段で上まで行くよ。いつまでも自分の足で歩いていたいからね」と笑顔で言って颯爽と階段を昇って行った。
上手くは言えないが、その気付き方というか視点に脱帽する。エレベーターで行くか?階段を昇るか?些細なことかもしれない。しかし、自分の生活や環境に合わせて、聞いた講演を基に熟考していることが凄いのだ。
講演会を主催する側の私達は、僭越ながら“もっと劇的な変化”を気持ちのどこかで願っていて、それが出来ないと失敗したかのように落ち込んでいる。でもそれは少し違うのかもしれない。発想の転換が必要で、気付き方や視点の持って行き方が大切。何事も一足飛びにはいかないものだと教えられた
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
先日、県立保健医療大学で開催された地域福祉講演会。今年で5回目を迎えた。毎年、介護のことや認知症のこと、それを取り巻く家族や地域、制度のことを参加者の皆さんと考えている。1回目から参加してくださっているテツヤさん。今年も当然のように来てくださった。「今年も勉強させてもらおうと思って」そんなテツヤさんの一言がとても嬉しかった。
会場は3階にあって、今の時期は蒸し暑いから階段で昇るのは私であれば億劫に思う。だから、テツヤさんにもエレベーターを勧めたのだが、「この講演会に続けて参加して、いろんな人の話を聞くうちに自分なりに一つの事に気付いた。恵まれすぎているのは不幸な事かもしれないということ。そう考えると、エレベーターもその一つ。僕は階段で上まで行くよ。いつまでも自分の足で歩いていたいからね」と笑顔で言って颯爽と階段を昇って行った。
上手くは言えないが、その気付き方というか視点に脱帽する。エレベーターで行くか?階段を昇るか?些細なことかもしれない。しかし、自分の生活や環境に合わせて、聞いた講演を基に熟考していることが凄いのだ。
講演会を主催する側の私達は、僭越ながら“もっと劇的な変化”を気持ちのどこかで願っていて、それが出来ないと失敗したかのように落ち込んでいる。でもそれは少し違うのかもしれない。発想の転換が必要で、気付き方や視点の持って行き方が大切。何事も一足飛びにはいかないものだと教えられた
2013年06月04日
「意識を向ける」
「意識を向ける」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
夕食後にリョウジさんは窓を開けて外を見ていた。風にでも当たっているのかと思って、声をかけるとそうではなかった。
リョウジさんが「お前には聞こえるか?」と尋ねてくる。私には、遠くを走る電車や車の音、鳥の鳴き声が聞こえていた。その中のどれを「聞こえるか?」と尋ねられたのだろうか?私は風流なリョウジさんのことだから「鳥が鳴いていますね」と答えるのが正解だと思い、そう答えた。リョウジさんは「何や、聞こえんのか?耳悪いなぁ」と残念そうにしていた。
よくよく聞くと、施設周辺の田んぼは田植えが終わって水が張っている。そうなると蛙が鳴きだすのだとリョウジさんは言う。それも、ウシガエルとかいう大きな蛙らしい。「ウシガエルはゴー、ゴーと鳴く」とリョウジさんが教えてくれた。それを聞いてから耳を澄ますと確かに「ゴー、ゴー」と鳴き声がする。「意識の外にあるものは認識できんからな。でも、一度知ったら五月蝿いくらいに聞こえてくるぞ」と笑うリョウジさん。
ウシガエルの鳴き声は身近で聞こえていたはずなのだ。でも、知らないものや意識できていないものは、その存在に気付くことができないのだということをリョウジさんは教えてくれた。その日を境に、毎晩のように「ゴー、ゴー」と鳴くウシガエルの声が少し五月蝿く感じだした今日この頃です。
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
夕食後にリョウジさんは窓を開けて外を見ていた。風にでも当たっているのかと思って、声をかけるとそうではなかった。
リョウジさんが「お前には聞こえるか?」と尋ねてくる。私には、遠くを走る電車や車の音、鳥の鳴き声が聞こえていた。その中のどれを「聞こえるか?」と尋ねられたのだろうか?私は風流なリョウジさんのことだから「鳥が鳴いていますね」と答えるのが正解だと思い、そう答えた。リョウジさんは「何や、聞こえんのか?耳悪いなぁ」と残念そうにしていた。
よくよく聞くと、施設周辺の田んぼは田植えが終わって水が張っている。そうなると蛙が鳴きだすのだとリョウジさんは言う。それも、ウシガエルとかいう大きな蛙らしい。「ウシガエルはゴー、ゴーと鳴く」とリョウジさんが教えてくれた。それを聞いてから耳を澄ますと確かに「ゴー、ゴー」と鳴き声がする。「意識の外にあるものは認識できんからな。でも、一度知ったら五月蝿いくらいに聞こえてくるぞ」と笑うリョウジさん。
ウシガエルの鳴き声は身近で聞こえていたはずなのだ。でも、知らないものや意識できていないものは、その存在に気付くことができないのだということをリョウジさんは教えてくれた。その日を境に、毎晩のように「ゴー、ゴー」と鳴くウシガエルの声が少し五月蝿く感じだした今日この頃です。