2013年06月04日
「意識を向ける」
「意識を向ける」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
夕食後にリョウジさんは窓を開けて外を見ていた。風にでも当たっているのかと思って、声をかけるとそうではなかった。
リョウジさんが「お前には聞こえるか?」と尋ねてくる。私には、遠くを走る電車や車の音、鳥の鳴き声が聞こえていた。その中のどれを「聞こえるか?」と尋ねられたのだろうか?私は風流なリョウジさんのことだから「鳥が鳴いていますね」と答えるのが正解だと思い、そう答えた。リョウジさんは「何や、聞こえんのか?耳悪いなぁ」と残念そうにしていた。
よくよく聞くと、施設周辺の田んぼは田植えが終わって水が張っている。そうなると蛙が鳴きだすのだとリョウジさんは言う。それも、ウシガエルとかいう大きな蛙らしい。「ウシガエルはゴー、ゴーと鳴く」とリョウジさんが教えてくれた。それを聞いてから耳を澄ますと確かに「ゴー、ゴー」と鳴き声がする。「意識の外にあるものは認識できんからな。でも、一度知ったら五月蝿いくらいに聞こえてくるぞ」と笑うリョウジさん。
ウシガエルの鳴き声は身近で聞こえていたはずなのだ。でも、知らないものや意識できていないものは、その存在に気付くことができないのだということをリョウジさんは教えてくれた。その日を境に、毎晩のように「ゴー、ゴー」と鳴くウシガエルの声が少し五月蝿く感じだした今日この頃です。
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
夕食後にリョウジさんは窓を開けて外を見ていた。風にでも当たっているのかと思って、声をかけるとそうではなかった。
リョウジさんが「お前には聞こえるか?」と尋ねてくる。私には、遠くを走る電車や車の音、鳥の鳴き声が聞こえていた。その中のどれを「聞こえるか?」と尋ねられたのだろうか?私は風流なリョウジさんのことだから「鳥が鳴いていますね」と答えるのが正解だと思い、そう答えた。リョウジさんは「何や、聞こえんのか?耳悪いなぁ」と残念そうにしていた。
よくよく聞くと、施設周辺の田んぼは田植えが終わって水が張っている。そうなると蛙が鳴きだすのだとリョウジさんは言う。それも、ウシガエルとかいう大きな蛙らしい。「ウシガエルはゴー、ゴーと鳴く」とリョウジさんが教えてくれた。それを聞いてから耳を澄ますと確かに「ゴー、ゴー」と鳴き声がする。「意識の外にあるものは認識できんからな。でも、一度知ったら五月蝿いくらいに聞こえてくるぞ」と笑うリョウジさん。
ウシガエルの鳴き声は身近で聞こえていたはずなのだ。でも、知らないものや意識できていないものは、その存在に気付くことができないのだということをリョウジさんは教えてくれた。その日を境に、毎晩のように「ゴー、ゴー」と鳴くウシガエルの声が少し五月蝿く感じだした今日この頃です。
Posted by syuri at 00:00│Comments(0)
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