2014年11月21日

「目の中に入れても痛くない」

「目の中に入れても痛くない」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

 脳梗塞で倒れ麻痺の残るマモルさんは、自他共に認める強面。本人はそれが原因で50歳まで結婚できなかったと言うほど。昨年、娘さんが結婚した時は「孫ができても、おじぃちゃんではなく、マモルさんと呼ばせる。」などと強気に言っていた。
 それから一年。先日、マモルさんに初孫が誕生した。娘さんは生まれたばかりの赤ん坊を連れて面会に来てくれた。赤ん坊は、玉のような男の子。これはマモルさんも喜ぶだろうと「マモルさん、娘さんとお孫さんが来られましたよ。」と声を掛けても、強面を崩すことなく「うん。」と一言だけの返事で済ませてしまう。孫との初対面なのに…
と不安になるくらいだった。
 ところが、強面で待ち構えていたマモルさんが、孫と対面した途端「おじぃちゃんでちゅよー。」と言うから驚いた。娘さんも「〝でちゅよー〟はないんじゃない?」と言うと「麻痺して呂律が回らんのだ。」と照れながら、目尻が下がりっぱなし。それ以降、孫の前では呂律が回らない日が続いている。
 それともう一つ。マモルさんは、孫と一緒に出掛けたいというだけで、娘さんの車で幾度となく外出するようになった。昔から車での遠出は〝乗り物酔いするから嫌いだった〟と聞いていたのに。乗り物酔いよりも、孫の喜ぶ顔見たさのほうが勝っているようで。孫が誕生してマモルさんとその生活が少し変化した。

「目の中に入れても痛くない」




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