2018年03月30日

「春のように、穏やかに」

「春のように、穏やかに」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~


「家で看取る」

昔は当たり前だったことも、
今ではちょっと難しい。

けれど、ほとんどの人が、そう望む。

2月のある晴れた日、
一人の女性が天寿を全うした。

今までも何度か体調を崩すことはあったが、
強靭な心と体で、
いつも乗り切って来られた。
けれど、どんな人でも、
いつかは最期が訪れる。

年明けごろから
何も口にしなくなって、
心配した家族はいろいろ覚悟して
入院させた。

だまし討ちに合ったような気分だったのか、
ご本人は断固入院を拒否し
1週間で退院。

そこで家族は
さらに覚悟を決める。
「家で看取る」と。

医療の知識も
介護の経験もない。
あるのは「お母さんが帰りたいって言うからね」って
気持ちだけだった。

その日から最期までの時間は
ほんの2週間。
それでもひっきりなしに
訪れる知人や家族と共に過ごした時間は、
そこでの時間を共有した全ての人にとって
かけがえのない時間となった。

…本当に家で看取るのは
難しいことなのか。

肩の力を抜いて、
今できることを
やれば良いだけかもしれない、
ちょっとだけ周りの力も借りながら。

その女性は
桜の便りを待たずに
逝ってしまったけれど、
あの晴れた日の
穏やかな時間は、
いつまでも忘れない。


「春のように、穏やかに」


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