2015年05月01日
幸せを呼ぶ葉っぱ
「幸せを呼ぶ葉っぱ」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~
あるテレビ番組で四葉のクローバーについての特集コーナーが組まれていた。何の気なしにその番組を見ていた私は2年前のふとした出来事を思い出した。
長年会社の社長さんをされていたその男性は施設に来られても仕事が気になって仕方がない。来られて1時間もすると、「では私はこれで」と帰ろうとされる。帰りたいのを止めるとますます帰りたくなるので、そんな時は一緒に外に出て庭の草を抜く。
その日も私はその男性と一緒に草を抜いていた。いや正しくは草を抜くふりをして四葉のクローバーを探していた。男性はというとどんどん抜かれた草が大きく積まれている。今まで一度も四葉のクローバーを見つけた事のない私は、ほとんど諦めながら、それでも幸せになりたい一心で一生懸命探していた。すると、なんと目の前に四葉のクローバーが!! 男性の大きな手の中でそよそよと葉っぱを揺らすその姿に、ただただ興奮した。そう、四葉のクローバーを見つけたのはその男性で、私ではない。私が草を抜くふりをしながら四葉のクローバーを探しているのを知っていたその男性は、笑顔でそのクローバーを私にくれた。
認知症になると難しい事は覚えていられなくなってしまうように思われがちだが、クローバーが幸せを呼ぶ葉っぱだって事、この庭にクローバーが咲いているという事、どんな形が四葉のクローバーかって事、あげればきりがないほどいろんな事をこの男性は覚えてくれている。それだけでこの葉っぱは私に幸せをもたらせてくれた。
Posted by syuri at 13:34│Comments(0)
│介護編