社会福祉法人守里会 新聞連載コラム

「何と、まあ!」

～心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて～

1年に一度、この時期は何だか忙しい。先日も大きな舞台で日本舞踊を披露する保育所の子供たちにご褒美のプレゼントを手渡す大事なイベントがあった。何日も前からたくさんのプレゼントを手作りし、その日を心待ちにしていた。3種類あるプレゼントの中には手作りの「缶ぽっくり」と呼ばれるものがあった。簡単に言うと竹馬の缶バージョンで、缶に長い紐をつけ缶の上に乗って紐を持ち歩く昔の遊びだ。
　素晴らしい踊りを披露した子供たちをロビーで待ち受け、そのプレゼントたちを一人ひとりに手渡した。「綺麗だったよ」「かっこ良かったよ」と頭をなでながら渡すと、子どもたちもはにかんだような笑顔を浮かべながら大喜び。そんな様子を見ていると自然にこちらも笑顔になった。と、ふと目についたのは一人の男性。ほとんど車椅子の生活で食事の時ぐらい椅子に移ろう、と促しても「嫌だ」と言って頑なに拒否するその男性が、立っているではありませんか。どうも近くの子どもに、缶ぽっくりの遊び方が分からない、と言われお手本を見せてあげている様子。ちゃっかり缶の上に乗って「どうだ!凄いだろ!!」と言わんばかりのその顔は、いつものふくれっ面とは違い、とっても優しいおじいちゃん、そのもの。いつもそうなら良いのになあ。やっぱり子どもには敵わない。いろいろ策を弄する私たちをすっ飛んで、何でもやってくれる。そんな強い味方の力を借りながら、さあ今日も頑張るぞ。