2016年11月18日

「季節を感じて.2」

「季節を感じて.2」
~心に積み重なる様々な出来事をこのコラムに寄せて~

「これ見てごらん。
 家でなっとったんよ。
  
 お裾分けや。」


渡したくれたのは一個の柿。

小振りながら
気持ち良いほどに

鮮やかな橙色である。




「今年もたくさんできとるんよ。
 毎年同じくらい実がなるんや。」

自慢そうに
柿の木を撫でながら



自分の生まれ育った場所は田舎で

柿の実がなっていたら
子どもたちが
学校帰りに取って食べていたこと



結婚して
香川に移ってきた時に

夫と植えた柿が
この木であること



夫が数年前に他界した後も
大事にしてきたことなど

昔話を交えて語ってくれた。




「人がおらんようになっても
 植物は変わらず
 秋になったら実をつけてくれるんよ。

 だから生きとる間は面倒見てあげんと。」と、

少し寂しげに笑って
そう答える姿が印象的だった。



食欲の秋

実りの秋

読書の秋・・・。



一人ひとりが見つける秋は
どのように映るのだろう。


一本の柿の木を
共に眺めながら

少しずつ色づいていく秋の風景に


静かに想いを馳せるのであった。


「季節を感じて.2」


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